第2話 秘密基地

小さい頃、近所の裏山に秘密基地を作ったことがあります。3人も入ればいっぱいの、小さくて強い風が吹けばあっというまに壊れてしまうダンボールの基地でした。おんぼろな基地だったけれど、そこでの遊びはいつもよりとびきり楽しくて特別でした。大人になった今思えば、仲間同士で秘密を共有する連帯感とわかりあえる心強さを感じていたからだと思います。

センターにやってくる思春期の子どもたちを見ていると、ダンボールで秘密基地を作る時期を過ぎても、心の中にそのような場所を求めているのかな、と感じることがあります。誰かと一緒に心の冒険をしたり自分自身を見つめることのできる特別な場所。そのような秘密基地は非日常の場所にだけあるのではなくて、部活や、習い事や、読書、友達と語り合うなどの、誰もが過ごす日常のあちこちにひっそりと存在していると思います。子どもと大人の狭間にいて、価値観が混沌とした思春期の子どもたちにとっては、自分らしさを探したり、心を成長させていくために秘密基地で過ごす時間が大事であるような気がします。そこは、子どもと大人の間、ファンタジーの世界と現実との狭間なのかもしれません。

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